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2011年07月 アーカイブ

架空の世界の中の自動車

ジャン・コクトーの「オルフェ」(1950年)では、黒塗りのロールズ・ロイスは冥界との通信を可能にする手段でした。


ウォルト・ディズニーの「うっかり教授」(61年)や、「チキチキバンバン」(68年)では、自動車は空を飛び、水を渡り、主人公の危難を救ってくれます。


映画という空想の世界で、自動車は擬人化され、さらに機械としての理想である知性さえもっています。


自動車は、すくなくとも映画の中では一足早く、"インテリジェンス"でした。


・・・しかし自動車が人を愛し、自由意志で行動をはじめるとなると事はおだやかでありません。


けれども同じくディズニーの、「ラブ・バッグ」(69年)ではそれが実現しました。


そしてその主人公の自動車がVWビートルであることで、アメリカ人なら誰でも納得します。


フォードやシボレーでは、こうはいかなかったでしょう。


中古車情報でも人気の高いVWビートルは、自動車が日常生活の道具となりきった戦後のアメリカ人にとってさえ、独得で親密な心情的価値をもっていました。


ジェームズ・ボンドとアストン・マーチン

映画の中に出てくる自動車は、それぞれの場に応じた車格、雰囲気をもった銘柄でなくてはなりません。


視覚的要素が強いだけに、小説以上にその点に気をつかうものらしいですね。


ジェームズ・ボンドの007は、小説では戦前の名門スポーツカー、ベントレー4.5リットル(スーパーチャージャーつき)に乗ることになっていましたが・・・


映画の中では中古車情報でも人気の高いロータス・エスプリからシトロエン2CVまでさまざまな車に乗っています。


しかし最もきまったのはアストン・マーチンでした。


アストン・マーチン社にその使用を申し入れたところ、ヴィクター・ゴーントレット会長(当時)は一もニもなく承知し、自分の乗っていたヴァンテージ・ヴォランテを提供しました。


同社のスポークスマンのジョフリー・コートニーは言っています。


「ジェームズ・ボンドがアストン・マーチンを運転したからといって車が売れるわけでもない。


だがDB5が、"Gold finger"(65年)で使われたことで、アストン・マーチンの名前は市場にはっきり刻み込まれた。


それはPRとして大成功だった」。

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