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2011年10月 アーカイブ

スピードの魔力

20世紀の神話の一つ、スピードへの異常な嗜好も、よく考えてみると、紙一重に存在する死によっていっそう鮮烈なものとなります。


20世紀はまた人類を破滅に導きかねなかった、大量破壊をともなう2つの世界大戦によっても特徴づけられます。


その後も長い間、原水爆の恐怖は続き、人々は死に直面して生きるほかなかったのです。


ミツオカ 中古車などで今は簡単に購入することが出来る自動車のもつ根本的な魔力は、言うまでもなくそのスピードにあります。


そこに現代人を一瞬なりとも現実から解放し、深く陶酔させる強烈な美学が生まれます。


ペストが流行した中世ヨーロッパで、人々は「メメント・モリ」(死を忘れるな)を相言葉として生きのびようとしました。


逆に、文明も宗教も人々に死を忘れさせる効用をもつ場合もあります。


20世紀人はあまりにも身近な"死を忘れて"生きる道を選んだのかもしれません。


モーター・レーシングは筋書きのないドラマといわれます。


たった一つの判断ミスが、一個のボルトのゆるみが、勝敗の明暗をわけます。


そのような意外性の連続が20世紀の人々の心を強くとらえたのでしょうが、さらに別の理由も考えられます。


戦争に明け暮れた20世紀にあって、モーター・レーシングは、日常性のらち外にある一種の"代理戦争"とみることも可能なのです。

代理戦争としての自動車レース

轟然たるエンジン音。


"死を賭しての"デッドヒート。


ときとして発生するクラッシュ事故!


・・・さらにそれは、たまたま純粋の傍観者であるべきはずの観客まで巻き込むことがあります。


1957年のイタリアのミッレ・ミリア(1000マイルレース)では、ゴールのわずか30マイル手前の地点で、路上のキャッツアイ(路面に埋めこんだ夜間用反射標識)のためタイヤをバーストさせたスペインのデ・ボルタゴ侯爵の操縦するフェラーリは鈴なりの観衆の中につっ込みました。


空中高く飛び上ると溝の中に落ち、ボルタゴと同乗者は即死・・・。


同時に子供5人を含む10人の生命が奪われました。


27年にはじまったミッレ・ミリアは、この年を限りに中止となりました。


さらにその前の1955年のル・マン24時間レースでは、メルセデス・ベンツ300SLRに乗ったフランス人のピエール・ルヴェーは、先行するオースチン・ヒーレーと接触して空中を舞い、満員の観客席にとび込んでいます。


車は爆発炎上し、80名以上の死者を出しました。


中古車の情報などが氾濫する現代社会ですが、いまだにこうした自動車レースの人気が高いのも不思議です。


やはりスピードには魔力があるのでしょうか。


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